「トイストーリー3」

これも、あのピクサーを世に知らしめた大ヒットシリーズの第3弾。
(ピクサーの創始者が、あのAppleのスティーブ・ジョブスというのも有名ですね(^^))
実はこれだけ有名になったこの作品。私見るのは今回が初めてなんですwww;。
1も2も全く観たことがない。TV放送されてた時も。
せいぜいワイドショーの番宣でチラ見した程度なんですねー。
そんななのに、いきなしシリーズの最終版を観ようってんだから、図々しいもんですw。
しかし、そこはアメリカ産子供向けの映画。ちゃんと始めての人にもわかるようなストーリーになってましたww。
なので素直に楽しめましたよ。まぁ、ストーリーそのものは、ごくありがちな冒険アクションもの、という感じでしたが、奇をてらわず正攻法の王道ストーリーでしたので、却って素直に楽しめました。
じゃ、なんでこれを選んだのか?
実はこの映画だけ、最近流行の3D映画だったからです。
つまりはまぁ・・・3D映画ってのがどんなものか体験したかっただけ、と(爆)。
まぁ、その分他より割高だったんですが、それでも普段よりは安かったです(^^)。
で。その3D映画を観た感想ですが。
正直なところ「え。こんな程度なの(?_?)」と言う程、普通でした。違和感全くなし。
ぶっちゃけて言うと、最初のディズニーのクレジットの方がよっぽど3D感溢れてましたw;。
しかし何でなかぁ?と観た後で考えましたね。確かに立体感や奥行きはよく出てましたし、とても臨場感はあったんですが、よくある新しい視点のモノに遭遇したときのような違和感、というモノがホントに全くなかったんです。
でまぁ、自分なりに出した結論としては、トイ・ストーリーという作品自体がもともとからして3Dポリゴンのキャラクターで作られた作品なので、それを3Dにしても大して違和感がなかったんだろう…と思いかけたんですが、、、
よく考えたら、これ以外にも3Dポリゴンで動いているアニメやゲームとかも至る所で目にする機会はあったんですけど、それらのほうがよっぽどトイ・ストーリーよりも違和感ありまくりで未だに馴染めないのに、何でこの作品にはそれが感じられないんだぁ?と余計に???となってしまう事に;;。
それを自分なりに推敲するとー…なんかとんでもない考えに行き着きましたΣ(゜゜;。
つまり、これって日本と西洋との絵画に対する歴史と文化の違いがもたらしているんではないか、と。
その事を感じたとき、もしその通りだとしたら、私はむしろ、この事がもたらす事態に驚愕しました。
もしかしたら3D映像の普及は、いま日本が世界に誇っている「ジャパニメーション」の終焉を与えるのかもしれないな、という驚愕です。
去年の暮れに日本でも「ホッタラケの島〜遥と魔法の鏡〜」という立体キャラクターのアニメが公開されて観に行ったのですが、正直なところ、なんとも言えない違和感、キツイ表現で言えば気味の悪さを感じました。絵でありながら妙に写実的なキャラクターが何事もないかのように動くさまは、直感的にそう感じました。
ところが、この「トイ・ストーリー」ではその違和感・気味の悪さが全く感じられない。もっと言うと、その前に3D映像に慣れるために前座として流されていた「デイ&ナイト」というショートアニメもです。これに至っては通常の平面表現のほうが多かったというのにも関わらず、です。
その事を少し考えてみると、すぐにある事に思い至りました。
それは、日本絵画の歴史・伝統は、絵物語としての文化は世界最古を誇る深さを持っていますが、写実的・立体的表現という部分ではむしろ世界より劣っている、という史実です。
世界最古の漫画「鳥獣戯画」を生み出した伝統ある日本の絵物語の文化なのですが、実は立体的表現・遠近感のある絵画表現という分野では、圧倒的に歴史は浅いんです。
これは日本の絵画の歴史的にも実は遅れている部分でして、光の陰影による立体的表現(シェーディングと言います)や幾何学的縮尺方を用いた遠近図法といった発想・手法が存在しなかったためです。
現に日本画と呼ばれる作品は、どの時代のものを取ってみても、陰影や遠近法を用いていません。というより、絵画でそのような発想を用いる事が想像できなかったようです。
(もし身近に絵画の造詣に詳しい方がいらっしゃいましたら、日本絵画の技法で真上から鏡餅を書いて欲しいとお題を出してみてください。おそらく苦笑しながら大小の二重丸◎を書くだけで終わってしまうと思います。)
それが最初に発見されたのは、なんと江戸時代になってからなんです。
発見したのは、かの有名な平賀源内。
(エレキテル、土用の丑の日はウナギのキャッチコピーを考えた日本初のコピーライターとして有名ですね)
これをオランダからの輸入絵画から平賀源内が発見し、それを秋田藩で銀山開発の際に客人として招かれた(ホントに多才な人です…)際に、当時の藩主:佐竹義敦(画号:曙山)とその家臣1名にその技法を伝授し生まれたのが、日本絵画史上唯一の洋画「秋田蘭画」です。さらにこの家臣と言うのが小田野直武という方なのですが、この方こそ、かの有名な日本初の蘭医学書「解体新書」の挿絵を描かれた方なのです。
言い換えれば、この方がいなければ、あれほど立体的な解体図が描かれた書物にならなかった、というわけで、そうだったら果たして解体新書は「開国」までの貴重な海外への扉としての役目を果たし終えただろうか・・・というほどの重要な部分だったわけです。
さらに言うなら、この「秋田蘭画」。この2人を開祖としてその2人の絶命をもって無くなってしまいます。
ともに30代で亡くなるという短命に終わってしまった事と、あまりに(当時の日本絵画において)斬新な画法だったので後継者がなかった事が理由ですが、そのため「秋田蘭画」が存在したのは、わずかに10数年間だけという短さでした。その期間に解体新書が巡りあえた事は、今思えば奇跡とも宿命とも言える運命的なものだったのかもしれません・・・。
閑話休題。
長くなりましたが、日本画の世界で立体感・遠近感を取り入れたのは、それだけ最近になってやっと、という事なんです。しかも一時は消滅してましたし

私はこの歴史的背景・文化的土壌から考えて、映像の3D化は今の日本アニメ界の隆盛の終焉の始まりでは、と想像せざるを得ませんでした。その事を体感できたという点でも、観ておいて良かったな、と思っています。
とにかく今回の「トイ・ストーリー3」はおそらくこれを持って終了となり、3D映像への橋渡しとしての役割を果たしたと思います。
まぁ、そこまで難しく考えなくても、楽しめる作品でしたけどね(。^ω^。)
という感想を持った4本でした。
数日にまたがっての映画レポ、ご覧頂きましてありがとでしたー^^)/。